今話題の3キルコンボ、モダン版の"The Spy"について、復讐蔦を搭載したタイプの開発者であるしゃみおつぜみ(@mtgdel)さんのリストとブログ(引用元:https://neethouse.com/2020/09/24/2599)を元に考察していきます。


■コンボ手順
1. 欄干のスパイのEtB効果(または地底街の密告人のサクリファイス効果)で山札を叩き落とす。(山札からナルコメーバ1枚・復讐蔦4枚・這い寄る恐怖4枚・回収するタイタン1枚・弱者の剣3枚・その他アーティファクト3枚が落ちる)

2. 山札から落ちたナルコが戦場に出る。ナルコ(1/1)が出たことによって墓地の弱者の剣3枚が戦場に戻る。また山札から落ちた這い寄る恐怖も誘発し、対戦相手に12点ドレインが入る。

3. 墓地にある何かしらのアーティファクトを3枚追放し、回収するタイタンを墓地から手札に戻す。

4. 弱者の剣を3枚サクって回収するタイタンをピッチでキャスト。スパイと合わせて2回目の生物キャストなので、墓地の復讐蔦が誘発し戦場に戻る。蔦4体で殴って8点削って勝利。


欄干のスパイを出すターン=キルターンなので、指導霊やマナファクトによる加速を挟めばその分キルターンが縮まります。


■特徴
このデッキはモダンに存在していた従来のコンボデッキと比べ

・キーカード1枚でコンボ可能。
・サイドから勝ち手段そのものを変更できる。

という新しい特徴を兼ね備えています。


まずキーカード1枚でコンボ可能という点について。

モダンにおけるコンボはその多くが「"何か"と"何か"の2枚コンボ」によるものです。
侍臣ドルイドもアドグレイスもアロサウルスもキキジキもコピ猫も、全てはAとBを揃えなければコンボが始まりません。
従来の"コンボの優劣を競うポイント"は「AやBの種類が複数あること」「コンボのパーツが探しやすいこと」「揃えやすいこと」によって評価されていました。

しかし"Spy"は相方を探さずとも自身1枚のみからコンボが始まるため、

・キープ基準の緩さと安定度の増加
・コンボの相方を待つ必要も探す必要も無い。

という、従来のコンボと比べて新たな強みを持っています。
この「1枚コンボである」という点はモダンにおいては"The Spy"だけが持つ特徴です。(探せば他にもありそうです)
あとコンボ元となる"Spy"が2種8枚あるのが偉いですね。

また"Spy"の特徴はキーカードの少なさだけでなく「キーカード以外に必要なコンボ始動用カードの枚数も少ない」というところにもあります。
Spyがコンボを達成するために必要なカードは"スパイ1枚+マナソース4枚"のたった5枚だけであり、儀式系や"睡蓮の花"による膨大なマナ加速も、コンボの相方を引っ張ってくるためのサーチも、コンボを達成するための下準備となるカードを置く必要もありません。


次にサイド後の勝ち手段について。
しゃみおつぜみさんのリストでは、チル4発+蔦4体による撲殺に加えてサイドに"ゴブリンの放火砲(いわゆるベルチャー)"、それと"屈葬の儀式+タッサの神託者"という2つの勝ち手段が控えています。
ゴブリンの砲火砲は墓地対策を完全に無視でき、屈葬の儀式+神託者は"太陽冠のヘリオッド+スパイクの飼育係"などによる無限ライフないし"ファイレクシアの非生"などによる無敵バリアを無視できます。
あとは単純に勝ち手段が増えるため、人間の"翻弄する魔道士"1枚で完全に詰むことが無くなります。

ここで重要なのは「墓地対策+ファクト破壊の2種を引けないとコンボが止まらない」ということです。
Spy側は檻を置かれようがRIPを置かれようがベルチャーで焼き切るプランがあり、反対に"自然の要求"や"摩耗+損耗"を構えられていても素直にチルと蔦で殺し切るプランが存在しています。
Spyを対処する側からすれば「メインルートが動く3ターン以内に墓地対策を置き、かつベルチャー置かれてから起動される前にファクト対策を引く」ことを要求されているのでかなり厳しいですね。


■弱点
"Spy"は革新的なコンボデッキであり、勝ち手段を止めるためのサイドボーディングをすると軸をズラされてしまいます。
しかし従来のコンボデッキに存在せず"Spy"だけが持つ独自の弱点として、「土地が入っていない」という最大の特徴をそのまま挙げることができます。

モダンリーガルの軽い土地破壊はそのほとんどに「割った後に土地を与える」というデメリットが付いていますが、"The Spy"は土地が入っていないためこれらのデメリットが機能しません。
つまり"暗殺者の戦利品"や新しく加入した土地破壊スペル"浄化の野火"はおまけ付きのシンクホールと化し、幽霊街や廃墟の地はおまけ付きの"不毛の大地"として働きます。

また速いターンでキルするために一部マナソースをマナファクトに頼っているため、それらファクトを割られてしまうと減速しそうです。特に"溜め込み屋のアウフ"はマナファクトと一緒にベルチャープランそのものを止めてしまえるため有効なサイドカードとなるのではないでしょうか。
ファクトを止めるならトロンの灯争カーンもありますが先手じゃないと間に合わなさそうですね。

あとは土地が"3点ペイorタップイン、かつ単色"の2択しか無く、黒マナが出るアンタップイン土地に至っては1種類しか存在しないので土地周りが渋そうという印象です。
ただスペル土地については今後のセットでの再登場が約束されているので、この問題は次セット辺りにでも解決しそうですね。

これらの点から、思考囲いを使えてサイド後は"浄化の野火"で土地を割れ、かつキル速度が早めな赤黒果敢、翻弄する魔道士やサイド後の"溜め込み屋のアウフ"で勝ち手段を止められる5色人間は厳しい相手になりそうです。


■所感
メインの勝ち手段が否定の力で消されないため、ネゲーション構えながらウーロ出してくる現代型のコントロールを一方的に無視できるのは本当に素晴らしいと思います。
ウーロに強いこのデッキの存在はメタを回す要因となり得るので、3キルデッキとはいえ今すぐに規制がかかることは無いのでは、と思います。
キル速度よりもサイド後に墓地対策とファクト対策を要求してくることが渋いので、仮にもしこのデッキから禁止が出るとするならば、墓地対策を無視した勝ち手段となるベルチャーが引っかかるのではないでしょうか?


それでは。

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